[感想まとめ]中学生・高校生には絶対に読んでほしい本『この世でいちばん大事な「カネ」の話:西原理恵子』

私の子供はまだ4歳と0歳なのですが、
つい先日、
彼らが「中学生・高校生になったら、絶対に読ませたい本」と出会ってしまいました。

それが、これです。↓

この世でいちばん大事な「カネ」の話

この世でいちばん大事な「カネ」の話
著者:西原理恵子

今日は、やや興奮気味で、
親目線でこの本について解説したいと思います。

どんな本?[簡単に説明]

一言で表現すると……
お金の「怖さ」がリアルに体感できる本
です。

大金

一冊丸ごと、著者の生い立ちが描かれています。
そしてその生い立ちを語る上で、軸となっているが「お金」です。

・お金がないと、人間はどう壊れていくのか?
・貧乏と暴力の関係性とは?
・人間関係とお金の結びつきについて
など、

学校では教えてくれない「お金のリアル」が、実体験として描かれています。

西原さんは、さすが「言葉」を生業にする方だけあって、ページをめくるたびに、心に刺さるワードがたくさん出てきます。
多感な中学生・高校生だったら、大人以上に感じることがたくさんあると思います。

この本のポイントは?

中学生・高校生にオススメするポイントについて、解説します。

「貧乏」が、とってもリアルに書かれている

お金のことを語る上で「お金がない」=「貧乏」っていうのが、一番怖いし嫌ですよね。
でも、漠然と「怖い」「何か嫌だ」ってことだけがわかっていても、実際にお金がなくなるとどういうことが起きるのか、子供にリアルに説明するのって難しいですよね。
それは恐らく、ほとんどの親が本当にお金がない状態を経験していないから。

この本には西原さんの貧乏時代のことが、生々しく書かれています。
説得力がすごいです。

幼少期は、町全体が貧乏だったこと。
町が貧乏だと、そこに住む大人たちは生きることに必死だから、常にイライラ怒っている。
子供もどこか殺伐としていて、小・中学生から万引きやシンナー、乱交は当たり前。
そして子供たちは、そんな町から抜け出したいのに、貧乏が邪魔して抜け出せずにその子供も貧乏になってします。そして負のループがくり返される…。

ギャンブルにハマる父親や、借金のせいで優しかった母親が常にイライラしている母親に変わってしまったこと。
父親が自殺した後、家には140万円しか残っていないのに母親に100万円を渡されて東京の予備校に通うこと。
そこで出会った人たちから、お金を通じて学んだこと。
自分の力で生きるとはどういうことか?
お金を稼ぐとはどういうことか?
西原さんは、お金を通して学んでいきます。

もう〜めちゃくちゃリアルです。
生々しいです。

お金がないって状況は「その日を生きることに精一杯」ってことなので、小さな事でもすぐにイライラするし、笑う余裕がなくなるってことなんですね。
(読んでいて、小さい頃の自分の環境に感謝してしまいました。)

「お金を稼ぐ」ために、一番大切なことを教えてくれる

不遇な幼少期、青春時代を過ごした西原さんは、東京へ出て、自分の力で生きていくために四苦八苦します。
お金が稼げなくなるということは、貧乏な町に戻らないといけない、というプレッシャーから、がむしゃらに頑張りました。
その中で、お金を稼ぐということはどういうことか?を学んでいきます。

最初は、美大生として成績がかなり悪く落ち込みますが、だんだんと「成績がいい=お金を稼げる」ではないという世の中の仕組みに気づきます。
そして、お金を稼ぐ上で一番大切なことは何なのか?を理解し、今の立ち位置にのぼりつめます。

この本で、単純に「いいなぁ」って思ったのが「お金を稼ぐ」ではなく「飯を食う」って表現しているところ。
西原さんは初めからフリーランスで生きていくことを前提としているので、自分の力でお金を得ることが、ご飯を食べることに直結するということを、肌でわかっているからできる表現なんだろうなと思います。

「ギャンブルの怖さ」が書かれている

西原さんは10年ほど、ギャンブルにハマった時期があったようです。
大学生のとき、月収30万円を目標にして、20万円で生活して残りの10万円は貯金しようと人生計画を立てていた堅実な人が、ギャンブルに5000万円をつぎこみます。
そのくらいギャンブルは一度ハマると抜け出せない、恐ろしいものです。

でもここで奥深いなと思ったのが、西原さんはギャンブルを否定しないんです。
マンション一室買えるくらいのお金をつぎ込んだんだから、後悔している。絶対にギャンブルなんてやっちゃダメ!って普通の人は語りそうなもんなのに、ギャンブルを教えてくれた人を師匠としてその人の素晴らしさまで書いている。
これは、ギャンブルに罪はないってことなんだろうなと思います。
あくまでギャンブルは、マネーゲーム。
ギャンブルをやるのは、個人の自由。
破産してしまう人も、一夜にして大金を得る人がいるのも現実。
そのくらい、お金というものはドライなものなんだよ。って言われている気がしました。

ただ、お金がゼロになって笑っていられない根性の人は、やめときなさい。って書いてありました。。
(こういう言い方をされる方が、胸に刺さりますよね。。)

あと、FX(外国為替証拠金取引)に手を出したときの恐ろしさも書いてありました。
これは、単にFXによってお金がなくなったという事実よりも、人間って目の前に1000万円積まれて、それがどんどん減っていくと気持ちが落ち込んでくるのに、PC画面の数字がポンポン減っていくだけでは、あまり何とも思わない。(いや、思っているんだけど痛手が違う)って話がとても興味深かったです。

子供時代の金銭感覚は、人間形成に影響する

最近、お金教育の本がたくさん出版されていて、どの本にも「幼少期に正しいお金感覚を身につけろ」って書いてあるんですが、この本で書かれていることは少し違いました。

だいたいの本は、「お金に働いてもらう感覚」だったり「お金について深く理解する」といったHow toに近いことが多いのですが、この本ではもっと深い、人間形成に関する部分に触れていました。

友達から気軽に100円借りて「あとで返すね!」っていって、100円くらい、まあいいかーって返さない。
人から物を借りて返さない。
人より多くお金を出すことは「損」であり「悪」であると思っている。

お金のルーズさは、人間のルーズさに直結する。
だから、幼少期にきちんと正しておかないと、お金があるのに給食費を払わない親のようになってしまう。と指摘しています。

お金って「人間の本質」がダイレクトに反映されるものでもあるんだなあ、と改めて思いました。

「お金」とは人間関係そのもの

お金って、つまりは人間関係だ。
というキーワードが出てきます。

「こんなに可愛い私とご飯食べるんだから、奢ってもらって当然」の感覚の女の子。や、奢ってもらったら、ペコペコ頭を下げないといけない男の子。など、実は、お金ってやりとりする人との人間関係を象徴するものである、と書かれています。
だから、簡単に奢ってもらったりしてはダメだ。と。
そして、友達にお金を貸すということは、友達をなくす行為だとも書いてありました。
(西原さんは、実際に何人も友達をなくしたらしい。)

小さい子供同士で金銭トラブルを起こしてしまうケースがありますが、西原さんの体験を読むと、どういったことがいけないのか、伝わりやすいのではないかと思います。

人の金をアテにして生きるな

西原さんには娘さんがいるようで、結婚して専業主婦になることに警鐘を鳴らしていました。
リストラや倒産、失業が一般化しているのに「人の金をアテにして生きる」ということが、どれほどリスキーか!

私も女の子の親ですので、とても響きました。
女の子って、親はそうでなくても、時代というか環境というか、周りが「女の子なんだから。」と、古い感覚をインストールされがちなんですよね。。
でも、自分でお金を稼がずに生きるって、とても不自由で生きづらいことだと、きちんと娘に教えないといけないなと思いました。

多感な時期にこそ、読んでほしい

いかがでしたか?
お金の本はたくさんありますが、こんなにリアルに人間の本質、お金の本質を書いた本ってなかなかありません。

きっと多感な中学生・高校生時代に読んだら、一生忘れることがない教訓として胸に刻まれると思います。

ぜひ、おすすめの一冊です。
(もちろん、親も読んでくださいね。)